こんにちは。

今回はマイクロスコープを使って治療した症例についてです。

歯に違和感があることを主訴に当院にいらして頂いた患者様でした。

神経がすでになく根管治療を以前にされたとのことです。

あらためて根管治療をしてみると根管内部に金属がみえます。

 

 

これは根の治療に使うファイルという細い器具の折れた先端です。

この器具の先端が折れてしまい、根管内に残ってしまっています。(破折ファイルといいます)

根管治療において一番多い偶発症がファイルの破折です。発生率は海外の論文で手用ファイルで0.25%、ロータリーファイル(機械による切削)で1.68%程度と報告されています。

しかし、この数字は海外のもので、

(ⅰ)海外では根管治療は専門医が施術することが非常に多いこと

(ⅱ)専門医は一般的に根管治療について多くの知識や技術を有していること、

(ⅲ)海外は歯科治療の診療報酬が日本よりも圧倒的に高いため、使う器具もコスト的に使い捨てにできる。診療報酬が圧倒的に低い日本では、器具を滅菌し清潔にしてはいるものの、器具を使い捨てにはできず切れ味の鈍った器具や刀部が伸びて変形してしまっている器具を使うことになります。もちろん目で確認できるものは廃棄しますが。

これらの理由で、日本では発生率は海外の比ではないくらい高いと言われていますし、じっさいの臨床の現場でも多々目にすることがあります。

しかし、ファイル自体は感染源にはならないとのデータがあり、ファイルが残ってしまうこと自体に為害性はないと言われています。大事なことは破折ファイルがあることで感染部の掃除ができないことです。

ですから破折ファイルを除去して根管治療をしたいのですが、破折ファイルは根管に刃が食い込んでいて簡単にはとれません。取るときは周りを削っていきひっかかりをなくしながら振動でとります。

しかし、破折ファイルは髪の毛ほどの太さしかなく、肉眼では確認はできず無理にとろうとすると根管に穴をあけてしまいます。

そこでマイクロスコープを使います。根管内を目視し、ライトもついているので明視下にできます。

器具を使い破折ファイルを取ったところがこれです。

わかりにくいですね・・

このときとれた破折ファイルがこれです。

 

無事にとることができ、この後は問題なく根管治療ができました。

 

 

マイクロスコープを使えばすべてのケースを治療できるというわけではありません。

しかし、抜歯せずに一本でも多く自分の歯を残すことができたらいいな、と思い日々診療しています。

お困りのことがありましたら玉川学園前駅マルシェ歯科まで。